コンサル転職の面接で必ず聞くべき8項目。会社の実態は、逆質問でしか見えない
- コンサルの面接は評価される場であると同時に会社を見極める場であり、直近案件・デリバリー型・卒業生のキャリアなど求人票に載らない8項目は逆質問でしか確認できない。
- 「稼働率で評価されるか顧客成果で評価されるか」への回答は、その会社がコンサル型かSES型かを一言で見分ける最重要のリトマス試験紙になる。
- 逆質問は詰問ではなく事実確認の形にすると相手も答えやすく、曖昧な回答が返ってきたこと自体が判断材料になるため、8項目のうち譲れない3つを事前に決めておくべきである。
「面接で逆質問してくださいって言われるんですけど、何を聞けば正解なんでしょうか」。
ブティックや中小のITコンサルを受ける方から、この相談を本当によく受けます。逆質問に「正解」を探してしまう気持ちは分かります。ただ、順番が逆なんです。逆質問は面接官に気に入られるための儀式ではありません。皆さまがその会社に入って後悔しないために、求人票に書かれていない実態を引き出す、ほとんど唯一の手段です。
コンサルという仕事は、外から見た輪郭と中で起きていることの距離が、他の職種より大きい。「DX支援・上流から伴走」と書いてある会社が、実態は常駐の実装部隊だった、という話は珍しくありません。だからこそ言い切ります。面接は、評価される場であると同時に、会社を見極める場です。この記事では、僕が候補者にいつも渡している「見極め8項目」を、質問の型と、返ってきたら危ない回答のセットで並べていきます。
0. なぜ逆質問なのか——求人票は「一番きれいな面」しか映さない
先に理屈を申し上げます。求人票というのは、会社が見せたい面を切り取った広報物です。悪意はなくても、構造的に「一番きれいな面」しか映りません。「上流から伴走」「裁量が大きい」「成長できる環境」——どれも嘘ではないけれど、皆さまが本当に知りたい「で、自分は毎日何をするのか」には、ほとんど答えていない。
僕が社内で「実態8軸」と呼んでいる整理があります。案件・工程・相手・関与・顧客・難度・場所・出口。この8つは、面接という一次情報の場でしか埋まりません。逆に言えば、この8つを面接で埋めきれば、入社後のギャップはかなり潰せる。ここが今回の隠れた主役です。8つを一度に全部聞くと詰問になるので、あとで触れるように「譲れない3つ」に絞るのが実戦のコツです。
1. 直近案件のテーマ——「過去3カ月で実際に動いた案件」を聞く
最初に聞くべきは、抽象的な「どんな案件がありますか」ではありません。「直近3カ月で、実際にデリバリーした案件のテーマを2〜3個、教えていただけますか」と、期間を区切って具体を求めます。会社案内に載っている「代表事例」は数年前の看板案件かもしれない。今この会社が食べている案件が、皆さまの毎日になります。
危ない回答は「守秘義務でお答えできません」の一点張りです。もちろん顧客名は出せませんが、テーマ(基幹刷新の要件定義、データ基盤のPoC、業務プロセス再設計など)すら曖昧にしか語れない面接官は、現場から遠いか、語れるほどの案件がないかのどちらかです。僕の体感値で言うと、良い会社の面接官は、匿名化しながらも案件を具体的に、少し楽しそうに話します。
2. 上流のどこから入るか——「伴走」の解像度を上げる
「上流から伴走」というフレーズは、この業界で最も意味が薄れた言葉のひとつです。上流と言っても、経営課題の言語化から入るのか、要件定義書ができた後の設計から入るのかで、仕事はまるで違います。「案件に入るとき、たいていは工程のどのフェーズからですか。構想段階からですか、要件が固まった後からですか」と聞いてください。
2-1. 「上流」の4段階
誤解がないように申し上げると、上流には段階があります。(1)経営課題の発見・構想、(2)業務要件の定義、(3)システム要件・設計、(4)実装以降。ブティックの求人票が言う「上流」の多くは、実は(3)あたりです。(1)(2)に本当に入れる会社は限られます。どこから入るかで、身につくスキルも、数年後の市場価値も変わる。ここを曖昧にしたまま入ると、「思っていた上流と違った」が起きます。
3. 向き合う相手——「日常的に会話する相手の役職」を聞く
コンサルの仕事の質は、誰と向き合うかでほぼ決まります。クライアントの役員・部長クラスと直接議論するのか、情報システム部の担当者と仕様を詰めるのか、あるいは元請けコンサルの下でその指示を受けるのか。同じ「コンサルタント」でも、この3つはまったく別の職業です。「日常的にいちばん多く会話する相手は、先方のどの役職ですか」と尋ねましょう。役員と壁打ちする毎日と、担当者と仕様を詰める毎日は、鍛えられる筋肉が違います。
4. デリバリー型の実態——「実装まで自社で担うか」を確かめる
これが8項目で最重要のひとつです。中小ITコンサルには、戦略・構想までを描く「アドバイザリー型」と、設計・実装・運用まで手を動かす「デリバリー型」があり、その中間も無数にあります。デリバリー型が悪いわけではまったくありません。むしろ手を動かせるのは強い。問題は、それを「戦略コンサル」の看板で募集している場合に、入社後のギャップが生まれることです。
ここでの決定的な質問がこれです。「コンサルタントは、稼働率で評価されますか、それとも顧客の成果で評価されますか」。稼働率(アサインされている時間の割合)を第一に評価する会社は、構造的にSES・人月ビジネスに近い。顧客成果や提案の質を評価軸に置く会社は、コンサルの価値提供に近い。この一問への答え方は、その会社がコンサル型かSES型かを見分ける、一番速いリトマス試験紙です。
5. クライアント特性——「業界と規模」で仕事の型が決まる
クライアントが誰かで、案件の性格は大きく変わります。「主要なクライアントは、どの業界の、どのくらいの規模の会社が多いですか」と聞いてください。大企業の情報システム部が相手なら、合意形成と社内政治の調整が仕事の中心になります。中堅・成長企業の経営者が相手なら、意思決定は速いが、こちらが幅広く手を動かす必要がある。金融・製造・小売でも、規制の重さも進め方も違う。自分がどの土俵で戦いたいのかと、会社の主戦場が合っているかを確かめる質問です。
6. 案件の複雑性——「難しさの種類」を言語化してもらう
複雑性にも種類があります。技術的な複雑性(新しい技術スタック、大規模データ)、業務的な複雑性(例外だらけの業務ルール、複数部門の利害調整)、政治的な複雑性(意思決定者が多い、反対勢力がいる)。「御社の案件で、いちばん難しいのはどの種類の難しさですか」と聞くと、その会社が本当に価値を出しているポイントが見えます。「難しさなんてない、と言われたら要注意です。難所を語れない会社は、難所に踏み込んでいない可能性が高い。
7. 出社比率——「常駐・出社・リモートの実際の割合」を数字で
働き方の実態は、募集要項の「リモート可」だけでは分かりません。「実際のところ、クライアント先常駐・自社出社・リモートの割合は、平均でどのくらいですか」と、数字で聞きます。デリバリー型やSES色の強い会社ほど、クライアント先常駐の比率が高くなる傾向があります。常駐が悪いわけではありませんが、「フルリモート歓迎」の求人票と、常駐8割の実態が食い違っていたら、それは大きな判断材料です。ここは体感でごまかされやすいので、必ず割合の数字で押さえてください。
8. 卒業生のキャリア——「辞めた人の次の行き先」が会社の価値を映す
最後の項目が、僕が個人的に最も重視するものです。「この会社を卒業した方は、次にどんなところへ進むことが多いですか」。コンサルは、多くの人にとって通過点です。だからこそ、卒業生の行き先が、その会社で得られる市場価値をそのまま映します。事業会社の経営企画、外資戦略ファーム、起業、あるいは大手事業会社の要職へ——卒業生が良いキャリアを歩んでいる会社は、在籍中に本物の力がつく会社です。逆に、卒業生の行き先を語れない、あるいは同業のSESを転々としている例が多いなら、その意味を落ち着いて考えるべきです。
8-1. 今日やる準備——所要40分の逆質問セット作り
実務パートです。準備は40分で組めます。(1)15分:上の8項目を紙に書き出し、自分が今回の転職で「これだけは外せない」3つに丸を付ける。人によってはデリバリー型か(第4項)と卒業生キャリア(第8項)、という具合に。(2)15分:丸を付けた3つを、詰問にならない「事実を尋ねる文」に整える(「〜は良いですか」ではなく「〜はどのくらいの割合ですか」)。(3)10分:残り5項目は「時間が余れば聞く予備」として順位づけしておく。面接の逆質問タイムは短い。優先順位を決めておくかどうかで、引き出せる情報量が変わります。
結び——面接は、双方向の見極めである
皆さんいかがでしたでしょうか。逆質問を「評価されるための儀式」だと思っている限り、会社の実態は見えてきません。8項目は、会社があなたを選ぶのと同じ強さで、あなたが会社を選ぶための道具です。良い会社ほど、これらの質問を歓迎します。都合の悪い実態を隠したい会社ほど、言葉を濁す。その反応そのものが、答えです。まずは自分の「譲れない3つ」を決めるところから、コンサルクエストで今日も一歩進めましょう。
よくある質問
Q. コンサルの面接で逆質問は何を聞けばいいですか?
会社の実態を見極める8項目を軸にするのがおすすめです。直近3カ月に実際に動いた案件のテーマ、上流のどの工程から入るか、日常的に向き合う相手の役職、デリバリー(実装)まで担うか、クライアントの業界と規模、案件の複雑性、出社・常駐の比率、そして辞めた人の次のキャリアの8つ。どれも求人票には書かれず、面接でしか確認できない情報です。
Q. 面接で会社の悪い面を質問しても大丈夫ですか?
問題ありません。むしろ職種を構造で理解している証拠として評価されます。ポイントは詰問にしないこと。「稼働率と顧客成果のどちらで評価されますか」のように、良し悪しではなく事実を尋ねる形にすると、相手も答えやすく、あなたの見極めの精度も上がります。曖昧な回答が返ってきたこと自体が、重要な判断材料になります。
Q. ブティックと大手コンサルで面接で見るべき点は違いますか?
違います。大手は制度が整っているぶん個社差が小さく、ブティック・中小ITコンサルは会社ごとに案件の型も評価も大きく異なります。だからブティックほど、直近案件のテーマ・デリバリー型かどうか・卒業生のキャリアといった実態を面接で個別に確認する必要があります。看板ではなく中身で選ぶ市場だからこそ、逆質問の重みが増します。
IT人材業界20年、ギークリー創業を経て現職。個人として通算4,200名のキャリア面談を実施してきた経験に基づき監修しています。本文中の年収・難易度等は独自ガイドの目安値であり、個人の経験・企業により変動します。
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